バイエルン国立歌劇場「緊密な関係にある一流のエキストラ」が参加し総勢400名で来日

2011/09/22
By

 明日23日に神奈川県民ホールで開幕する、バイエルン国立歌劇場日本公演を前に、22日、東京・渋谷のNHKホールにて、バイエルン国立歌劇場のニコラウス・バッハラー総裁とケント・ナガノ音楽監督、《ローエングリン》に出演する主な歌手(ローエングリン役:ヨハン・ボータ、オルトルート役:ワルトラウト・マイヤー、エルザ役:エミリー・マギー、テルラムント役:エフゲニー・ニキーチン)による記者会見が開かれた。
 これは、去る6月6日にニコラウス・バッハラー総裁とケント・ナガノ音楽監督が緊急来日し記者会見を開催、東日本大震災、福島第一原発事故の影響を受け、芸術団体、アーティストの来日中止が続いているなか、今秋の日本公演の実施を明言してから3ヶ月、その間に配役に変更が生じたのと、さきごろ「総勢400名のうち100名が来日拒否」というベルリン発の一部報道があり、そのことによって国内に誤った認識が流れているのを受け、開催されたもの。

以下に、会見の要旨を紹介する。

バイエルン国立歌劇場総裁 ニコラウス・バッハラー
 
 日本のみなさんのために、私たちの公演をお見せできるということを、とても嬉しく思っています。このような大きな引っ越し公演は、私たちのような大きなオペラハウスにとっても、大変な事業です。随分前から芸術家だけでなく、裏方まで含め、いろいろな分野で計画し、同じ時期にここに来て、私たちの劇場とまったく同じ水準のものをみなさんにお見せするというのは、大きな挑戦でもあるのです。

 今回3作品を選びましたが、これらは私たちのオペラハウスの歴史、顔、プロフィールとも言える作品ばかりです。私たちのオペラハウスには作曲家としては3つの柱とよく言われる、ワーグナー、モーツァルト、R.シュトラウスがありますが、今回は、ワーグナーの《ローエングリン》、R.シュトラウスの《ナクソス島のアリアドネ》、そして、ドニゼッティの《ロベルト・デヴェリュー》をもってまいりました。これらはどれをとっても、劇場の芸術的、美的感覚からも、劇場を代表するものですので、私たちの仕事ぶり、その芸術性の高さをつぶさに見ていただけるものばかりだと思っています。

 バイエルン国立歌劇場は世界を代表するオペラハウスのひとつだと自負していますが、なかでも最高のものは音楽だと思っています。最高のクオリティでの音楽です。オペラにはいろいろな作品があり、古いものから現代のものまでありますが、そこに新しい解釈を加え、私たちの時代にあった上演がいかに今の私たちの時代に意味があり、意義があるかということを示し、それをみなさんにお見せするという方針を、今回の日本公演でも披露できると思います。

 日本では3月に大震災があり、その後もたいへんな状況が続いていますが、それにも関わらず、私たちはすべてのエネルギーを注いで日本公演の準備をしてきました。これは日本側のスタッフでも同じことだと思います。そして、ベストなメンバーで日本のみなさんんに私たちのオペラハウスの今の状況、どのようにすばらしい水準かというのを見ていただけるものと思います。 

 私自身、このオペラハウスの総裁として、全体に責任があるわけですから、日本公演を決定するにあたり、一番大切なのは、ひとつにまとまり、連帯を示すということ、そして、日本に行くということが大切だと思いました。そのために多くの話し合いをしましたし、専門家を交えて、全員の前で、専門的な話をしてもらいました。一番不安なのは無知なことによる不安です。ですから、できるだけ多くの情報を与えるようにしましたし、それによって、各自が確信をもつことが大事だと思いました。

 それでも、今回来日することに不安があると言うメンバーが一部にはおりました。確かに南ドイツでは日本の現状について過激な報道がなされているのも事実です。しかし、大多数のメンバーが喜んで日本公演に参加すると言ってくれました。私は、不安があるから行きたくないという人を説得するとか無理矢理連れてくるとか、そういうことは毛頭考えませんでした。

 私たちのオペラハウスには1000人以上のスタッフがいます。そのうちの400人で今回来日しました。もちろん、いろいろなセクションから、不安があるということで日本に行きたくないという声もあがりましたが、このような大きなオペラハウスですので、私たちには常にいろいろな観点から、オーケストラ、合唱、ソリストについて、専属でなくても我々と緊密な関係にある人たちがいます。ですから、私たちとは関係のない人たちが代わりとして日本公演に参加するのでなく、私たちとのこれまでの長い間の緊密な協力関係にある人たちがいろいろなセクションでその支えをしてくれたということにはなりますが、基本的には私たちのメンバー400人でまいりました。

 エキストラが入るというのは、私たちのオペラハウスにとって常日頃から行われているノーマルな出来事です。オーケストラ、合唱だけでなく、テクニカルな部分も含め、10%から15%程度のゲストがいるというのは通常のことです。もちろんまったく知らない人ではなく、よく一緒にやっているメンバー、音楽であれば、同じクオリティのサウンドを保てるということですが、そのようなメンバーですので、今回の日本公演でもそれは保証できると思っています。

 また、たとえば、ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ドレスデン・シュターツカペレ、ミュンヘン・フィルなどが日本公演を行うときに、実はバイエルン国立歌劇場オーケストラのメンバーが入っていることもよくあります。今回その逆のことが生じているということです。合唱団には、バイロイトで歌っていたメンバーも入っています。

 そして、日本公演にあたり、不安があるから行きたくないという声が上がったとき、最初に決めたメンバーのなかに入っていなかったスタッフから、それなら私たちが代わりに是非行きたい、連帯をしめしたい、日本の方々との友情を深めたいと表明してくれて、参加してくれた人も多くいます。そのようなエモーションを私は誇りに思っていますし、そのようなメンバーと来日できたことを嬉しく思っています。

 今回、エディタ・グルベローヴァさんや、ヨハン・ボータさん、ワルトラウト・マイヤーさんという世界的なソリストを揃えて日本公演を行えるということを、私自身とても嬉しく思っていますし、この気持ちは、かならず日本の観客のみなさんにも共感していただけるものと確信しています。

 そして、私たちのいまの目標は、今回日本に来なかった人たちが「ああ残念、行けばよかった」と思ってくれるような、すばらしい日本公演をやり遂げて帰る、ということです。

バイエルン国立歌劇場音楽総監督 ケント・ナガノ 

 最善を尽くしたいと思い来日しました。
 日本でオペラをやるのは私にとって特別な体験で、ものすごく楽しみにしています。どれくらい楽しみにしているかと言うと、飛行機を降り立つ以前にもうリハーサルが始まっているかのような気分でした。

 特にオーケストラ、合唱もそうなのですが、日本との結びつきは、単なるプロという姿勢以上のものを感じています。日本でのゲスト・レジデンス制も数十年前から始まり今も続いています。我々の伝統を初めて共有できる国でもあります。

 日本では数ヶ月前にたいへんな出来事があったにも関わらず、ぜひ日本に来てくださいという言葉をいただき感謝しています。皆、準備万端ですので、エキサイティングした気持ちで臨みたいと思いますし、再びみなさんと我々の伝統を共有できることをたいへん嬉しく思っています。
 
 オペラは魔法のようなものとよく言われます。日本での現状を考えますと、この10年間やりたいと思っていたことが実現できるのではないかと思っています。これまでいくつもの試みがあり、やりたいと思っていても、なかなか実現できなかったこともあります。今、東京でようやく、アーティスティックな共演が実現することになりました。そのことについて、たいへん感謝の念を抱いています。


ローエングリン役 ヨハン・ボータ 

 二年前、ミラノ・スカラ座の《アイーダ》で歌わせていただいたばかりでしたが、日本に帰って来られてほんとうに嬉しく思っています。今回は私も驚いているのですが、休暇を過ごしている時に、ローエングリンを歌ってくれないかという電話をもらい、とても嬉しく思い、すぐに「はい」と言いました。ぜひみなさん今回の公演を楽しみにしていてください。

エルザ役 エミリー・マギー
 
 日本に戻って来くることができ、嬉しく思っています。新国立劇場でもいくつかの演目を演じてきましたが、日本のお客様はとてもすばらしいというのが日本の印象です。私も楽しみにしていますが、みなさんも楽しんでいただければと思っています。


オルトルート役 ワルトラウト・マイヤー

 日本に来るたびに、いつもいつも嬉しいのですが、すばらしいお客様の前で歌えるのを本当にいつも嬉しく思っています。今回も楽しみにまいりました。

テルラムント役 エフゲニー・ニキーチン

 マリインスキー劇場とも10数年前に何度か来日していますが、日本のみなさんの前で歌うのがとても大好きで、楽しみにしています。ベストを尽くしますので、楽しみにしていてください。

(2011.9.22 NHKホールにて photo:M.Terashi)

Tags: , ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です