ヤクブ・フルシャ 都響プリンシパル・ゲスト・コンダクターに就任

東京都交響楽団第708回定期演奏会(12月14日サントリーホール)より 写真/堀田力丸

チェコ出身の若手指揮者、ヤクブ・フルシャが東京都交響楽団のプリンシパル・ゲスト・コンダクターに就任した。12月14日、サントリーホールでの就任披露演奏会を前に、ホテルオークラ東京で記者会見が行われた。

1981年チェコ生まれの指揮者ヤクブ・フルシャは、現在、プラハ・フィルハーモニア音楽監督兼首席指揮者および、グラインドボーン・オン・ツアー音楽監督。今年5月に開催された「プラハの春」国際音楽祭では、オープニングを飾る《わが祖国》をプラハ・フィルハーモニアと演奏し絶賛された。いま世界が注目する新世代の俊英指揮者のひとり。

ヤクブ・フルシャ=音楽ジャーナリスト懇談会(12月14日都内)より        写真/堀田力丸

会見では
「2年前の都響との出会いは衝撃的でした。私が必要としていることを、すぐに読み取ってくれる都響のすばらしい楽員たちとのリハーサルは深まっていき、コンサートはすばらしいものとなりました。そして、私たちは、またお互いにいつか共演したいと思ったものです。そのため、今回のお話をいただいたときは、非常な感激を覚えました。これからは成熟したより深い関係を作っていきたい」

と述べた上で、
「今回は、オール・チェコのプログラムですが、これはあくまで第一歩。今後はチェコの音楽を部分的に紹介しつつ、ドイツものなど、いろいろな音楽にも広げていきたいと考えています」
と今後の抱負を語った。

また、都響の印象について、
「日本のオーケストラには個性がないということをよく耳にしますが、私は個性があると思っています。都響についていえば、柔軟性に溢れている、というのが個性だと思います。柔軟性というのは、良くも悪くも取られると思いますが、日本のオーケストラ楽員は、すばらしい教育をうけ、高い技術も持っていますので、指揮者がこうしたいという指示にきちんと応えてくれます。ここをこうフレージングしたいと指示すると、すぐに順応してくれる。正確なリズム感、バランス感覚、作品の分析力のすばらしさには感心しています。そして、西洋のオーケストラ以上に深い感情移入をもってみなさんが演奏していることもすばらしいことです」
と語った。

14日の就任披露演奏会では、チェコの隠れた名作を、それこそ伝道師的な使命をもって演奏したいという想いから、ドヴォルジャークの序曲《フス教徒》、スメタナの交響詩《わが祖国》から〈ブラニーク〉、マルティヌー《リディツェへの追悼》、そして、メインにヤナーチェク《グラゴル・ミサ》と、祖国チェコの作品をずらり並べた。また、もうひとつの披露演奏会では、フルシャがぜひ日本のクラシック音楽ファンに聴いて欲しいと熱望したというマルティヌーの隠れた名作、交響曲第3番も披露された。

東京都交響楽団第708回定期演奏会(12月14日サントリーホール)より 写真/堀田力丸

東京都交響楽団第708回定期演奏会(12月14日サントリーホール)より 写真/堀田力丸

都響には、2008年5月に初客演し、スメタナ、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフという色彩感に富んだプログラムから瑞々しい熱演を引き出したことは記憶に新しいが、その大成功から、両者の相思相愛のもと、今回の都響プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任となっただけに、今回の披露演奏会のいずれもが、これまでにない新たな都響の魅力を引き出し、大成功に終わった。
特に、正確なバトンテクニックとバランス感覚に富んだ優れた音楽性から生み出される、洗練され、ほどよくブレンドされた豊潤な響は、注目に値した。

今後の来日予定としては、2011年の12月に行われる「都響スペシャル」、2012年12月(プログラム未定)が挙げられているが、さらに多くの演奏を聴きたいという要望が強いことから、これ以外の演奏会が開かれる可能性もあるという。今後の都響&フルシャのコンビからは目が離せない。

【就任披露会見の動画(東京都交響楽団)】
詳しいフルシャ氏の挨拶および質疑応答についてはこちらをご覧ください。

【今後の予定】
◆都響スペシャル TMSO Special
2011年12月7日(水)19:00 サントリーホール
ソプラノ:シモナ・サトゥロヴァ
アルト:ヤナ・ヴァリンゲロヴァ
テノール:トマシュ・ユハース
バス:ペーテル・ミクラーシュ
合唱:晋友会合唱団

ドヴォルジャーク《スターバト・マーテル》

S 7,500 A 6,500 B 5,500 C 4.500 (一般発売(一回券)2011年9月15日)

◆2012年12月(詳細未定)

*なお、都響以外では、2012年3月1日〜11日、プラハ・フィルハーモニアとの日本ツアー(ソリスト:ラデク・バボラーク(ホルン)、三浦文彰(ヴァイオリン))が予定されている。
(問い合わせ:AMATI 03-3560-3007)

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■ヤクブ・フルシャ プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任披露公演

●第708回定期演奏会 Bシリーズ
12/14 (火) 19:00  サントリーホール
指揮:ヤクブ・フルシャ
ソプラノ:アドリアナ・コフートコヴァー
アルト:ヤナ・シーコロヴァー
テノール:リハルト・サメク
バリトン:マルティン・グーバル
合唱:晋友会合唱団

ドヴォルジャーク:序曲《フス教徒》 作品67
スメタナ:交響詩《ブラニーク》
マルティヌー:リディツェへの追悼
ヤナーチェク:グラゴル・ミサ

●第709回定期演奏会 Aシリーズ
12/20 (月) 19:00  東京文化会館
指揮:ヤクブ・フルシャ
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー

リスト:交響詩《レ・プレリュード》
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11
マルティヌー:交響曲第3番

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