メトロポリタン・オペラ JAPAN TOUR 2011 

オペラファンが待ちに待ったメトロポリタン・オペラ(MET)日本公演が実現する。1975年の初来日を皮切りに、88年以降、4、5年おきに日本に定期的にやってくるとはいえ、今度はこれまでとはスケールが違う。伝説のクライバー&ミラノ・スカラ座日本公演《ラ・ボエーム》から13年、ようやくMETがあのゼッフィレッリの《ラ・ボエーム》をもってくる。しかも、誰もが夢見た、“ネトレプコのミミ”だ。そして、いまや世界の歌劇場から引く手あまたの、カウフマンフリットリ、ホロストフスキー、パーペそろい踏みの《ドン・カルロ》、驚異のソプラノ、ダムラウの《ルチア》と、気絶しそうなほどの豪華絢爛ぶりだ。

*【関連記事】原発問題への懸念のためアンナ・ネトレプコらが来日を断念〜ピーター・ゲルブ メトロポリタン・オペラ総裁が都内で緊急記者会見

ピーター・ゲルブ メトロポリタン・オペラ総裁

 劇場、歌手、スタッフ、そのすべてが世界一の規模を誇るメトロポリタン・オペラ(MET)。オペラをまだ体験していないという方でも、MET(=通称メト)の名前はどこかで見聞きしたことがあるのではないだろうか?

 ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座と並ぶ世界最高のオペラハウスであることはもちろん、近年、最高の舞台を迫真の映像演出で世界各地で体験できる「MET ライブ・ビューイング」など、画期的な試みを次々と成功に導く新総裁ピーター・ゲルブ氏率いるMETは、『NHK クローズアップ現代』でも取り上げられるなど、21世紀のオペラ界を牽引する、世界が注目する歌劇場だ。

ジェイムズ・レヴァイン

 5年ぶりとなる今回の日本公演は、これまでになく凄い。前回、急病で来日不可能となりファンをがっかりさせた巨匠ジェイムズ・レヴァインが久々に日本へやってくることもうれしい限りだが(「音楽監督のジェイムズ・レヴァインは、現在治療中の背中の痛みによる体調不良により、医師のアドヴァイスに従い、5月15日から療養に入ることが、本日(5月7日)未明にメトロポリタン・オペラより発表されました。従いまして6月の日本公演はやむなく降板することになり、代わりましてメトロポリタン・オペラの首席客演指揮者のファビオ・ルイジが「ラ・ボエーム」「ドン・カルロ」「特別コンサート」を指揮いたします」〜ジャパン・アーツ公式ブログから)、なんといってもMETが世界に誇る十八番、ゼッフィレッリ演出の《ラ・ボエーム》にアンナ・ネトレプコがミミで登場するのは、ビッグ・ニュースだ。ネトレプコが歌うというだけで世界が騒ぎ、飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパー・スターは、ついさきごろ、英国ロイヤル・オペラ日本公演で、マスネ《マノン》で狂おしいまでに官能的な魅力を放ち、しかも、たった1日とはいえ予定していなかった《椿姫》まで歌い上げてしまった。たった2週間のうちに、2役のネトレプコに触れることができた幸運な日本の観衆を、世界はただただ溜息をついて眺めるしかなかった。そんな日本のファンに、またしても飛び切りのプレゼントが届くのだ。これはもう、万難を排して行くしかないだろう。

《ラ・ボエーム》からアンナ・ネトレプコ Photo: Beatriz Schiller/Metropolitan Opera

 METの凄いところは、こればかりではない。ヴェルディの傑作《ドン・カルロ》では、いまや世界の歌劇場から引く手あまたのスーパー・テノール、ヨナス・カウフマンが題名役で登場するほか現代最高のソプラノのひとりバルバラ・フリットリがエリザベッタを、世界最高のバス、ルネ・パーペがフィリッポ2世を、そして、オペラ界のトップスターの一人、ディミトリ・ホロストフスキーがロドリーゴを歌うという、目を疑うような豪華配役だ。

《ドン・カルロ》からルネ・パーペ、ディミトリ・ホロストフスキー Photo: Ken Howard/Metropolitan Opera.

 そして、「狂乱の場」で有名な《ランメルモールのルチア》では、驚異のコロラトゥーラ・ソプラノとして世界中の注目を浴びるディアナ・ダムラウが渾身の歌と演技で悲劇のヒロインを演じる。

《ランメルモールのルチア》からディアナ・ダムラウ Photo: Ken Howard/Metropolitan Opera

 2011年最高の、というよりも、日本オペラ史上に輝く最高の夢舞台まで、もうまもなくだ。

 

公演のみどころへ続く

(文:唯野正彦)

*この記事は、株式会社エンタテインメントプラスの許諾のもと、e+から転載したものです

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