ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

次代のブルックナー指揮者が放つ渾身の第8番。鬼才カヴァコスの華麗なるドヴォルザーク。

リッカルド・シャイー (c)Gert Mothes

2009年来日公演では、ブルックナーの交響曲第4番〈ロマンティック〉で圧倒的な成功をおさめたリッカルド・シャイー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。独特の重厚な響きが特徴的だったゲヴァントハウス管を、明るく輝かしい響きを兼ね備えた名オーケストラへと変貌させ、次代を担う真のブルックナー指揮者としての高い音楽性を再認識させた名匠シャイーが、今度は大作「第8番」を披露、ヴァイオリン界の鬼才カヴァコスを迎えたドヴォルザークの夕べも楽しみだ。


 シャイーはすでに、80年代からブルックナーに注力し、得意としてきた。今回指揮する第8番も、かつての手兵ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との録音が残されている。シャイーのブルックナー演奏に特徴的な「明るく色彩的で歌心にあふれた旋律美」はもちろんのこと、「深みのある響きが織りなす立体感」に富んだ名演だ。すでに紛れもなく現代最高のブルックナー指揮者の筆頭として高く評価されているシャイーだが、しかし、彼はそれで満足しなかった。

 シャイーがゲヴァントハウス管のカペルマイスター(楽長)に就任する際に重視したのは、日常的にバッハを演奏し、交響曲から宗教曲、オペラにまで至る幅広い音楽を演奏するということだった。それを裏付けるように、就任後すぐにゲヴァントハウス管ゆかりのメンデルスゾーンを取り上げ、ライプツィヒのかけがえのない財産であるバッハを集中的に演奏、録音してきた。しかしそれは、よりすぐれたブルックナー演奏を目指してのことだったのではないかと思えるのだ。なぜなら、巨大な建築物のようでありながら、繊細な美と敬虔な響きをあわせもつブルックナーの演奏には、演奏者のもつ音楽性と人生観が色濃く反映するからだ。

 ロイヤル・コンセルトヘボウ管との名演から10年を経た今、彼の音楽に向かうひたむきな姿勢が、チェリビダッケ、ヴァントら、数々の名演を生んできたサントリーホールでのブルックナー演奏史に新たな1ページを刻むことだろう。

Leonidas Kavakos (C)Yannis Bournias

 一方、ヴァイオリン界の鬼才レオニダス・カヴァコスを迎えてのドヴォルザークの夕べも魅力的だ。華麗なテクニックもさることながら、それに裏打ちされた、ゾクゾクするような弱音の美しさ、透明感と芯のある輝きをあわせもつ音色が魅力のカヴァコスによるドヴォルザーク。どういうわけか演奏される機会があまり多くないが、甘く切なく美しい、詩的で叙情的な響きは、佳作の魅力を再発見させてくれるに違いない。

 なお、2つのプログラムともに2月の定期演奏会で演奏、その後パリ公演を経ての来日となる。日本公演への並々ならぬ意欲のほどがうかがえる。
(文:唯野正彦)

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
ドイツ・ライプツィヒに本拠を置き、260年を超える歴史を誇る世界最古のオーケストラ。メンデルスゾーンが初代カペルマイスターをつとめたことでも知られる。聖トーマス教会の毎週末のミサ演奏のほか、オペラ、シンフォニーと、幅広い演奏活動を繰り広げている。かつて、“いぶし銀の響”の形容詞で語られ、その独特の重厚な響きが特徴的だったが、現在では、さらに明るく輝かしい響きを加えた名オーケストラへと変貌をとげた。

指揮:リッカルド・シャイー
ミラノ出身。アバド、ムーティに続く世界的イタリア人指揮者として高く評価されている。早くからコンサートとオペラの双方に取り組み、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルの常連として定期演奏会で指揮、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場など、世界の主要歌劇場で指揮するほか、ザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭などの国際音楽祭にもたびたび出演している。ベルリン放送交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の音楽監督を歴任、2005年からライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター。

ヴァイオリン: レオニダス・カヴァコス
悪魔のヴァイオリニストの異名をもつ。1985年シベリウス・コンクール、98年パガニーニ国際コンクールで第1位を獲得(このときの第2位は諏訪内晶子)。91年に世界初の録音となったシベリウスの協奏曲(オリジナル版による)で高く評価される。ベルリン、ウィーンをはじめ、世界のほとんどの一流オーケストラと共演、ザルツブルク音楽祭など数々の国際音楽祭へも継続的に出演している。2001年からは指揮者としてカメラータ・ザルツブルクを率い、2007年音楽監督に就任した。

*この記事は、株式会社エンタテインメントプラスの許諾のもと、e+から転載したものです

2011/3/4(金) 19:00開演 サントリーホール
【出演者】
指揮: リッカルド・シャイー
※レオニダス・カヴァコスの出演はございません。
【曲目】
ブルックナー: 交響曲第8番 ハ短調

2011/3/5(土) 15:00開演 サントリーホール
【出演者】
指揮: リッカルド・シャイー
ヴァイオリン: レオニダス・カヴァコス
【曲目】
ドヴォルザーク: 序曲「謝肉祭」op.92
ドヴォルザーク: ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53
ドヴォルザーク: 交響曲第7番 ニ短調 op.70
【参考】2月の定期演奏会の模様はこちらからご覧いただけます。


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